【球春到来】144㌔左腕復活…長岡商高OBの新潟医療福祉大4年・目黒宏也

球春到来…この春、新天地で夢へ再挑戦する選手や、夢を引き寄せるため勝負のシーズンを迎える選手、そして復活を期す選手などに焦点を当てる。

3回目は長岡商高出身で新潟医療福祉大4年の目黒宏也投手(21歳)。2学年上の先輩・阪神の桐敷拓馬投手の後を継ぐ、期待のサウスポーとして入学し、2年時には最速144㌔をマークした。しかしエースとして活躍が期待された去年春に左肩を痛め、戦線を離脱した。「このまま野球ができなくなるのでは」…不安の中、治療を続け、1年間のブランクを経て、この春ようやく実戦復帰を果たした。8日に開幕する関甲新1部リーグ戦で「任された場所を全力で投げたい」と最上級生として勝利への貢献を誓っている。

けがから復活し、春のリーグ戦での活躍を誓う新潟医療福祉大4年・目黒宏也(長岡商高出身)

快速左腕が帰ってきた。

3月22日に新潟医療福祉大のグラウンドで行われた新潟アルビレックスBCとの練習試合。0対0で迎えた5回に二番手で目黒がマウンドに上がった。相手の四番打者に安打を許すと連続四球で満塁のピンチを迎えた。この後、守備の乱れなどで計4失点。6回、7回は無失点に抑えたが、この日の目黒は3回を投げて4失点の内容で敗戦投手となった。

しかし、目黒にとっては実戦で投げられるようになったことが大きかった。

左肩のケガから、約1年間、投げられない日々が続いた。この日計測した目黒の直球の最速は144㌔。2年時にマークした自己最速と同じ速さだった。

「最初のイニングでストライク先行を意識し過ぎました。(連続四球で満塁のピンチを作ってしまったが)ボール自体には力が伝わっている感覚がありました。きょうの反省点を踏まえて、リーグ戦では投げていきたい」

試合後の目黒の表情に暗さはなかった。

長岡市・栃尾地区の出身。中学時代までは無名だったが、長岡商高に入学すると、その素質を見抜いた佐藤忠行監督が1年秋から公式戦で起用した。2年春にはエースとなり、3年春の県大会4回戦では日本文理高を相手に終盤まで好投した(3対6で惜敗)。

長岡商高時代の目黒 好左腕として注目された

高校卒業後、新潟医療福祉大に進学。1年秋から公式戦登板を経験した。2年時には球速が144㌔をマーク。2学年上の桐敷拓馬(阪神)の後を継ぐ左のエースとして期待された。

しかし、3年生となった去年春、左肩痛の症状が表れた。「シャンプーをする時に腕を上げても痛みを感じるほどだった」。医師の診断によると、左肩のじん帯が腫れ、水がたまっていたという。飛躍を期した3年時、春のリーグ戦だけでなく、秋のリーグ戦でも登板なしに終わった。治療に専念する日々が続いた。

「二度とボールが投げられないのではないか、野球ができなくなるのでは、と不安になりました」

ようやくボールを投げられるようになったのは今年の正月あけだった。徐々に強度を上げ、九州キャンプでは実戦復帰を果たした。

「ようやく思い切り投げられるようになりました」

目黒の表情に明るさが戻った。

新潟アルビレックスBCとの練習試合では3回4失点の内容だったが、相手首脳陣から「1年前よりもボールがよくなっている」と高い評価を得た。新潟医療福祉大の鵜瀬亮一監督は「課題は隅(コーナー)に投げたがること。ど真ん中に投げたらいい。ど真ん中でも初見ではファウルにしかならないくらいのボールの強さがある」と話し、「マウンドで自信を持って投げてほしい」と期待を込める。

3月22日の練習試合では自己最速タイの144㌔をマーク、復活を印象づけた

8日からは4年生として迎える最後の春のリーグ戦が始まる。4年生となった目黒は進路についても考えなければならない。

「春のリーグ戦で結果を出して、上でもう少し続けたい」と話す目黒。一方で「大学で納得して、野球をやり切ろうという気持ちもある」と揺れる心境をのぞかせる。今はただ、春のリーグ戦で1試合でも多く登板することしか考えていない。

「先発でも中継ぎでも、任されたところをしっかり抑えるだけ。全力でチームに貢献したい」

野球ができる喜びを感じながら、全力で腕を振ろうと心に決めている。

◎新潟医療福祉大の春季リーグ戦予定(関甲新1部)◎
・4月8日(土)…対 松本大(上武大野球場)
・4月9日(日)…対 山梨学院大(上武大野球場)
・4月15日(土)…対 常磐大(上武大野球場)
・4月16日(日)…対 作新学院大(上武大野球場)
・4月22日(土)…対上武大(上武大野球場)
・4月23日(日)…対 平成国際大(白鷗大野球場)
・5月13日(土)…対 白鷗大(白鷗大野球場)
・5月14日(日)…対 新潟大(新潟医療福祉大野球場)
・5月20日(土)…対 関東学園大(上武大野球場)

(取材・撮影・文/岡田浩人)