【球春到来】最後のリーグ戦に完全燃焼誓う 新潟南高OBで新潟大4年・岩渕大

球春到来…この春、新天地で夢へ再挑戦する選手や、夢を引き寄せるため勝負のシーズンを迎える選手、そして復活を期す選手などに焦点を当てる。

4回目は新潟南高出身で新潟大4年生の岩渕大捕手(21歳)。就職活動などを控え、3年時にほとんどの部員が引退する同大野球部にあって、4年春のリーグ戦まで現役を続けることを決めた。「やり切ったという感覚を持って野球をやめたい」と完全燃焼を誓っている。高校でキャプテンを務め、2年秋には県準優勝を経験。大学では3年春にキャプテンをとして、強豪ひしめく関甲新1部でのリーグ戦に全力を注いだ。野球人生の集大成となる春のリーグ戦が8日から始まる。

8日から最後のリーグ戦に臨む新潟大4年・岩渕大(新潟南高出身)

180センチの大きな体が、扇の要としての存在感を醸し出している。小学2年生から始めた野球。新潟大4年の岩渕大はこの春、野球人生の集大成として最後のリーグ戦に臨む。

「去年春に初めて1部リーグ戦で戦った後、秋は教育実習があり1試合しか出場できませんでした。自分の中で『やり切った』感がなかった。それで4年の春もやってみようと思いました」

新潟大の硬式野球部では、代々3年生がチームの中心を担う。学生監督やキャプテンを務め、大半の部員が3年時で引退し、就職活動などに備える。

岩渕も3年となった昨春、キャプテンを任された。ちょうどその時、リーグ戦の組み換えがあり、新潟大は1部で戦うことになった。1部の10チームの中で国立大は新潟大だけ。クラウドファウンディングなどを利用し、なんとか遠征費用を集めた。

強豪私立を相手に戦うのが楽しかった。打線では中軸に座り、春のリーグ戦では31打数7安打、打率・225の数字を残した。ただ、秋のリーグ戦は教育実習などがあり、1試合の出場にとどまった。

その昨秋のリーグ戦で、新潟大は強豪私立を相手に3勝を挙げ、10チーム中9位と健闘した。特に地元のハードオフ・エコスタジアムで開催された白鷗大との試合では、その後のドラフト会議でオリックスから1位指名された曽谷龍平から適時打で1点を挙げた。2対3で競り負けたものの、新潟大の選手たちは充実感に溢れる表情を見せた。

そのチームメイトの姿をベンチ外から見ていた岩渕は、自分が不完全燃焼であることに気がついた。

「もう一度、リーグ戦を戦って、そして野球をやめたいと思いました」


新潟南高では2年秋の県大会で準優勝 主将としてチームをけん引した

新潟南高校ではキャプテンを務め、チームを引っ張った。2年秋の県大会では21年ぶりに決勝に進出し、準優勝。北信越大会にも出場した。

進学した新潟大でも野球を続け、中心選手として活躍した。将来は教員となって野球の指導者になりたいという夢を持っている。

最後と決めたこの春のリーグ戦。岩渕は「打撃で結果を残して終わりたい」と話す。

「打率は3割を残したい。タイトルまではと思いますが(笑)。新潟大に入ってよかったです。1部でプレーできたこともそうですが、自由で楽しく、自分たちで考えて練習できるところがよかった」

打撃練習に取り組む岩渕 春は二番打者として活躍が期待されている

新潟大の野﨑壯太学生監督(高岡高出身)は岩渕について「去年までは中軸でしたが、この春は二番打者として起用しています。チャンスメイクもできるし、走者も還すことができる。打線の中で一番難しいポジションを(岩渕)大さんにお願いしています」と信頼を寄せる。そして「今の3年生キャプテンの岡田大心(前橋高出身)や学生監督である私自身を、精神的に支えてくれる存在」と感謝する。

小学2年生で野球を始め、高校、大学と新潟県で野球を続けてきた岩渕。自らの野球人生を振り返り、新潟の高校球児へ、次のようなメッセージを残した。

「ぜひ大学で硬式野球を続けてほしい。木製バットで打つ面白さ…金属バットと違ってごまかせないところが奥深い。新大は楽しくできる環境があるので、ぜひ入学して野球をやってほしいですね」

岩渕は春のリーグ戦で引退する。そして、教員採用試験に備える。8日から始まるリーグ戦の1試合1試合が自らの野球人生の集大成となる。

新潟大のメンバー 昨秋の3勝以上を目標に春のリーグ戦に挑む

新潟大の春季リーグ戦予定(関甲新1部)◎
・4月8日(土)…対 白鷗大(白鷗大野球場)
・4月9日(日)…対 上武大(上武大野球場)
・4月15日(土)…対 関東学園大(白鷗大野球場)
・4月16日(日)…対 松本大(白鷗大野球場)
・4月22日(土)…対 山梨学院大(白鷗大野球場)
・4月23日(日)…対 常磐大(上武大野球場)
・5月13日(土)…対 作新学院大(白鷗大野球場)
・5月14日(日)…対 新潟医療福祉大(新潟医療福祉大野球場)
・5月20日(土)…対 平成国際大(平成国際大野球場)

(取材・撮影・文/岡田浩人)