【高校野球】中越の左腕・佐藤雄飛がプロ志望届 BCL挑戦へ

今夏独自大会優勝校である中越の3年生・佐藤雄飛(ゆうひ)投手(18)が5日、プロ志望届を提出し、同日夕方、日本高野連のホームページで公表された。佐藤雄は最速136キロの左腕で制球のよさが持ち味。今夏の独自大会では4試合に登板し自責点は0で、右腕の佐藤旦有夢(あゆむ)投手とともに優勝に貢献した。

佐藤雄は取材に対し、独立リーグのルートインBCリーグに挑戦する意向を示し、「BCリーグで経験を積んで、夢であるNPB(日本野球機構)入りを目指したい」と地元球団である新潟アルビレックスBC入団を希望している。
プロ志望届を提出した中越・佐藤雄飛(3年)BCリーグを経て将来のNPB入りを狙う

佐藤雄は176センチ、70キロの左腕で長岡市出身。「野球を始めた小学2年生の時からプロ野球選手になりたいと思ってきた」と話す。小学6年生で本格的に投手を始め、堤岡中時代は軟式野球部に所属し、3年時にはエースとして全日本少年軟式野球大会新潟県大会に出場した。憧れはソフトバンクや巨人で活躍した杉内俊哉氏(現・巨人投手コーチ)で「力感がないフォームで、すごい変化球を投げるところ」にひかれたという。

中越高校では2年秋の県大会で背番号11をつけてベンチ入り。今夏の独自大会も背番号11で4試合に登板、うち2試合に先発し、自責点は0と安定した投球をみせた。「甲子園大会はなかったが、夏に優勝できて自信になった」と話す。

本田仁哉監督は「(4回戦の)加茂暁星戦でエースの佐藤旦有夢を助ける投球をみせて成長を実感した。ボールのキレがよく、回転数が多い。手先が器用で、内角と外角の両サイドに狙ったところに投げ込める」と佐藤雄の特徴を語る。

BCリーグへの挑戦はコロナ禍の休校期間中、本田監督をはじめとした首脳陣から「挑戦してみないか」と勧められたことがきっかけだった。本田監督は「上で野球を続けたいという時に、大学、社会人、独立リーグという選択肢の中で、OBの渡邉雄大(現・ソフトバンク)の存在がイメージとして大きかった。(渡邉は)BCリーグ、新潟アルビレックスBCで育ててもらった。同じ志を持った選手が元プロの指導者から集中して教えてもらえる環境で単年勝負、という方が(佐藤雄)本人の性格に合っていると思った」と説明する。

佐藤雄は「自分でもリーグのことを調べた。何球団あるのか、どの県にあるのか、
どの球団がNPBに選手を輩出しているのか…そこで、BCリーグで経験を積んで、夢であるNPBに行こうと決めた」と決断に至った気持ちを話す。

夏の4回戦(加茂暁星戦)で力投する佐藤雄飛

夏の独自大会以降、地元球団である新潟アルビレックスBCの試合も3試合観戦。「投手中心に試合をつくり、攻撃にリズムをつくるチーム」とその印象を語る。インターネットの動画配信でも試合を観戦し、イメージを膨らませている。現在は自分でメニューを組みながら、学校でブルペン投球をしたり、ウェートトレーニングをしたりしながら汗を流している。

「潜在能力は高い。BCLで体をつくって、球速とキレを増してくればNPBも見えてくる」と本田監督も期待を寄せる。

佐藤雄は「1年目からNPBに入るという気持ちで臨み、活躍してドラフトに指名される選手になりたい。球速は145~6キロまでは伸ばしたい。変化球もチェンジアップの精度を上げ、シュートを覚えなければ。三振を取れる決め球を増やしたい」と自らの成長曲線を描いている。

BCリーグは11月に新潟市のハードオフ・エコスタジアムを含む3会場で入団テストである「合同トライアウト」を開催する。例年、球団によってはトライアウト受験を免除する「特別合格選手」の枠があり、BCリーグドラフト会議の際に発表されている。

(取材・撮影・文/岡田浩人)