【高校野球】帝京長岡が秋の北信越制す 日本文理と新潟県勢2校が選抜出場へ 北信越大会決勝

来春の選抜甲子園の出場校決定のための選考資料となる「第153回北信越高校野球大会」は19日、富山市民球場で大会史上初の新潟県勢同士による決勝戦が行われ、帝京長岡(新潟3位)が5対4で日本文理(新潟1位)に逆転勝ちした。帝京長岡は2024年春以来となる2回目の優勝(秋は初優勝)で、春夏通じて初めての甲子園出場となる来春選抜切符を確実にし、11月14日から東京・明治神宮球場で開催される神宮大会に北信越代表として出場する。準優勝となった日本文理も12年ぶりとなる春の選抜甲子園出場へ有力となった。

新潟県勢の選抜大会2校出場は、2011年に日本文理と21世紀枠での出場となった佐渡の2校出場があったが、北信越代表として一般枠での2校出場となれば初めて。来春の選抜大会は来年1月30日に選考委員会が開かれ、出場32校が決定し、3月19日に阪神甲子園球場で開幕する予定。

優勝を決めてマウンドで歓喜の輪をつくる帝京長岡の選手たち

◎19日の決勝戦の試合結果◎
<富山市民>
帝京長岡5-4日本文理
→帝京長岡は2024年春以来となる2回目の優勝(秋は初優勝)

(バッテリー)
帝京:髙木柊冴、西脇駆、工藤壱朗-松本覇
文理:室橋琉翔、西尾大路、河西泰生、染谷崇史-渡邉駿仁
(三塁打)
帝京:鈴木祥大(2回)、富田惇紀(8回)

史上初の新潟県勢同士の決勝戦(左=帝京長岡、右=日本文理)


日本文理の先発⑪室橋琉翔(1年)


帝京長岡の先発⑪髙木柊冴(1年)


1回裏、日本文理は無死満塁から主将・渡部倖成(2年)の犠飛で3塁走者の土屋太偉哉(2年)が生還し1-0。この回、2点を先制


1回途中からマウンドに上がった帝京長岡⑬西脇駆(2年)が2回以降、日本文理打線を0に抑える


5回から登板した日本文理⑳西尾大路(2年)


5回表、帝京長岡は四球で出塁した坂本浩煌(2年)が捕逸と犠打で3塁に進み、西脇の内野ゴロの間に生還し、1点を返す


日本文理は7回から⑲河西泰生(1年)がマウンドへ


7回表、帝京長岡は1死1、2塁から松本覇(1年)の中前適時打で同点に


7回表、同点に追いつかれマウンドに集まる日本文理の内野陣


同点に追いついた帝京長岡は7回裏からエース①工藤壱朗(1年)がマウンドへ


8回表、日本文理はエース①染谷崇史(2年)がマウンドへ


8回表、帝京長岡は1死から連打で1、3塁と勝ち越しのチャンス…ここで攻撃の作戦タイムを取り、芝草監督の指示を伝える。この後、二盗を決め2、3塁に



8回表、帝京長岡は1死2、3塁から途中出場の富田惇紀(2年)が右中間に適時三塁打を放って4-2と勝ち越し。この後、スクイズでさらに1点を追加


8回裏、1点を返した日本文理は無死満塁から安達煌栄千(2年)の投前スクイズ失策で3塁走者の渡部倖成(2年)が生還し、1点差に。なお無死2、3塁の好機が続いたが同点ならず


秋の北信越大会で初めての優勝を飾り、初の甲子園出場を確実にし喜ぶ帝京長岡の選手たち


2020年の就任以来、初の甲子園出場を確実にした芝草宇宙監督(中央)

◇帝京長岡・芝草宇宙監督の話◇
「本当にうれしい。なかなか手の届かなかったところ(甲子園)が優勝で近づけた。素晴らしい選手たちが躍動するところを見て、ベンチから頼もしく、2時間半集中して見させていただいた。選手は活気があり、ベンチ全体で盛り上がっていた。(県大会で敗れた日本文理が相手だった)今までやってきた帝京長岡の野球を思い切りぶつけようとスタートして優勝できてよかった。盗塁、エンドランで積極的に動くことは持ち味でやってきた。1つ、2つアウトを取られたとしてもひとつの攻撃だと話しをして、この攻撃を続けて中盤、終盤になんとか点数をもぎ取ろうと言っていた。(富田選手の勝ち越し打は)富田にはきょうは先発ではいかないが、途中から必ずいくと話していた。右中間は彼の大好きなところ。あのカウントでもいきなさいと、そこで思い切っていってくれたところが富田の成長。(投手陣については)先発の高木は期待していたがストライクが入らず苦しんでいたので思い切って代えた。西脇が新潟県大会ではいい結果が出ていなかったが、打ち取る技術には良いものがある。前回投げたときも芯に当てられた安打はほとんどなかったので自信を持って送り出した。工藤はきょう気持ちだけでいったと思う。少しハリがあるということだったので、後ろに回して大事なところで頑張ってもらった。(監督就任後初の甲子園が確実に)先輩たちがあと一歩というところで、私が勝たせてあげられなかったことが続いていた。やっと先輩たちの思いも少しは報われたかなと思う。ここから先輩たちがつくってきた帝京長岡の野球を、甲子園が決まればしっかりぶつけたい。(神宮大会、来春の選抜へ)高校生は一日一日うまくなるし精神的にも強くなる。毎日の練習をもう一度しっかりやりたい。」

◇帝京長岡・鈴木祥大主将の話◇
「本当にうれしい。(選抜へ大きく前進し)新チームが始まってから、北信越で優勝して、神宮へ行って、選抜を決めるとやってきたのでうれしい。最後はエースの工藤がしっかり抑えてくれた。(相手が日本文理だったが)県大会で悔しい結果で負けて、日本文理にリベンジしようと北信越大会に入ったので、決勝という舞台でリベンジできてうれしい。(2点を先制されたが)初回だったので終盤にチャンスが来るので耐えていこうと話した。(攻撃では)帝京長岡は足を絡めた攻撃が持ち味。消極的にならず積極的にいければ勝てるとミーティングで話していたので、それができてよかった。(終盤に逆転したが)皆が思い切っていった結果。(1年生主体のチームで決勝は2年生の活躍が勝ちに結びついた)北信越大会で2年生が打てず、『2年生頑張ろう』と言ってきたが、富田と西脇の2人の2年生が頑張ってくれた。勝つごとチームがに1つになっていった。(先輩たちがなかなか行けなかった甲子園だが)3年生の悔しい姿を見てきた。練習も手伝っていただき、3年生の分まで甲子園を決めてやろうと思っていた(神宮大会、選抜へ)新チームで目標にしてきたのが神宮大会。全員で準備し、パワーアップして大会を迎えたい。選抜へは時間がかなりあるので、冬にレベルアップし、一皮むけた帝京長岡が見せられるように頑張りたい」

◆日本文理・鈴木崇監督の話◆
「(1点差だったが)野球のリズム、流れがつかめない中、リードしていても重苦しかった。打つ方は四球と犠飛で点数をもらったが、今までと形が違う中でウチの先発が変わり空気が変わった中、なじめない前半だった。(終盤は)お互いに導いたエースが登板する中で、ウチが先に複数点の3点を与えたのが重かった。大会を通して経験できたことを一冬にいかしたい。(県大会で勝っている帝京長岡に敗れたことは)きのうから県大会とは別物だと話していた。ウチの北信越で成長し、帝京さんもウチに敗れてから跳ね返して勝ってきている。結果的にこうなったのでしっかり次にいかしたい。(この秋を振り返って)染谷がしっかり投げてくれた。福井商、高岡第一、敦賀気比といい投手を打つことができた。そこをこの冬はなお、いま関東や近畿やいろいろな地域でやっている試合を視野に入れながら、いい冬にしたい」

◆日本文理・渡部倖成主将の話◆
「(準優勝で)新チーム始まってから『王座奪還』をチームのスローガンに、県大会では王座奪還できたが、次のステージ・北信越で王座奪還のために乗り込んだ。強豪ぞろい、好投手ばかりだったが、染谷がよく投げ、打線も繋ぐ打線ができたと思う。ただ決勝で負けて、自分たちで徹底してきた打撃が決勝でできず悔しい。課題はチーム打撃を徹底すること。投手も染谷だけでなく2枚目、3枚目もしっかりやっていきたい。(新来春へ向けて)久しぶりの選抜に出ることができたら、新潟で応援していただいている皆さんに勇気を与えられるプレーをしていきたい」

(取材・撮影・文/岡田浩人)