【高校野球】中越の甲子園ベンチ入りメンバー紹介(背番号1~9)

「第107回全国高校野球選手権大会」に新潟代表として7年ぶり12回目の出場を果たした中越高校のベンチ入りメンバー20人と記録員を2回に分けて紹介する。

※名前・読み方・学年・守備位置・出身中学(硬式出身チーム)・身長体重・投打


①雨木天空(あまき・そら)・3年・投手
新潟市立巻東中(新潟北シニア)・178cm・80kg・左投げ左打ち

左腕から投げ込む140㌔の直球と大きく曲がるカーブ、鋭いスライダーで打者をねじ伏せる。今春県大会での優勝、そして北信越大会で敦賀気比の強力打線を抑え込んだことで自信をつけた。夏の新潟大会では「調子がよくない中でも抑えることができた」と投球の幅が広がった。父親の影響で小学1年生から野球を始め、中学の途中で軟式から硬式に転向。石山とは中学時代からのチームメイトでライバルだった。「甲子園に行きたいという夢があったが、(石山)愛輝と叶えることができてよかった」と喜ぶ。「ただガムシャラにやるのではなく、しっかりとした理論を学んで成長できた」と自身を分析。甲子園では「相手もレベルが上がる。自分の投球を崩さず、新潟大会と同じように淡々とアウトを積み重ねていきたい」と冷静な投球を心がける。


②仲丸陽大(なかまる・はると)・3年・捕手
魚沼市立広神中・171cm・90kg・右投げ右打ち

正捕手で副主将を務める。新潟大会決勝では1点リードで迎えた9回に「場面は2年前と同じ。相手は去年と同じ。3年間の集大成だと思った」と最後まで気を引き締めて雨木をリード。優勝の瞬間、「終わった」とほっとしたという。中学までは三塁手で県選抜の主将も務めた。「考えながら野球をやる中越で学びたかった」と進学を決め、高校入学後から本格的に捕手を始めた。「捕手だからこそ試合の流れを感じ取れるようになった」と話す。昨秋県大会で背番号2を任されたが、「試合中にケガをしてしまい、北信越大会では背番号二けたになり悔しかった」。冬場は主将の窪田に協力してもらい、食事とトレーニングで8kg減量に成功。打席での粘り強さも特長である。「自分のような選手でも活躍できることを甲子園で見せたい」と意気込んでいる。


③窪田優智(くぼた・ゆうと)・3年・一塁手(主将)
新潟市立山の下中(新潟シニア)・176cm・80kg・右投げ右打ち

主将で四番に座り、新潟大会は打率・435、1本塁打、10打点を挙げた中心選手。本田監督から「このチームは窪田のチーム」と評されるほど、絶大な信頼を得てチームをまとめている。硬式の新潟シニアで活躍していた中学時代に中越の練習を見学。「そのときに思ったことを言い合っている先輩たちの姿に心を揺さぶられた」と進学を決めた。今春の県大会では打撃不振に陥ったが、3週間後の北信越大会ではフォームを修正し見事に復調。敦賀気比戦では2本の適時三塁打で5打点を挙げ、新潟県勢の対敦賀気比戦12年ぶりの勝利の立役者となった。「地に足をつけて戦う」「普段通り」を常にナインに求め、己自身も律してきた。「周りに支えられ、新潟大会で優勝できた。新潟代表としてしっかり戦いたい」と中越31年ぶりの甲子園勝利へ、チームを引っ張る。


④清水悠利(しみず・ゆうり)・3年・二塁手
長岡市立堤岡中(長岡東シニア)・170cm・75kg・右投げ左打ち

三番打者で勝負強い打撃が特長。新潟大会では打率・391、6打点を挙げた。「自分が一番打たなければという気持ちで臨んでいる」と責任感も強い。3学年上の兄・大夢さんも中越野球部OB。3年前に準決勝で敗れ涙する兄の姿を見て、「中越で甲子園に行かなければ」と覚悟を決めた。「3年間はキツいことしかなかったが、『甲子園に行ったら全部報われる』と言われてきて本当にその通りだった。優勝の瞬間は今までで最高の時間だった」と振り返る。甲子園では「自分が走者を返すことが大事。どうしても1点が欲しいときに打てる選手、プレッシャーに強い選手でありたい」と気持ちを強く臨むつもりだ。また「声が高く、響きやすい」ことも自らの武器で、甲子園でもその声と勝負強さで存在感を発揮する。


⑤宮崎翔矢(みやざき・しょうや)・2年・三塁手
柏崎市立瑞穂中(柏崎シニア)・170cm・70kg・右投げ左打ち

俊足と巧みなバットコントロールをいかし安打を量産、ダイヤモンドを駆け巡る。新潟大会では打率・409と活躍。ただ、「大会の最初は調子がよかったが、準決勝、決勝となかなか安打が出なかった。試合中の修正力を意識したい」と反省を忘れない。父親の大輔さんが中越野球部OBで、小学2年生だった2016年夏の甲子園出場時に「今村豪さんの投球を甲子園で見た。サヨナラ負けで悔しい思いをした」と中越での甲子園勝利が家族の合言葉となった。冬場は「手で打つのではなく、体を使って打てるように繰り返し練習をしてきた」。その成果は春の県大会で表れた。春は外野手だったが、夏は三塁手に。「守備で流れをつくり、攻撃ではとにかく出塁し、後ろの打者に繋ぎたい」と甲子園での躍動を誓う。


⑥堤歩力我(つつみ・ありが)・3年・遊撃手
群馬県昭和村立昭和中(前橋中央ボーイズ)・178cm・73kg・右投げ右打ち

遊撃手としての堅実な守備が特長。新潟大会では打率・381で宮崎とともに上位打線としてチャンスをつくった。群馬県の出身で中学時代に練習見学に来た際、「地元の他の高校とは甲子園に懸ける思いが違った。仲間に入れてほしいと伝えた」と進学を決めた。「寮生活も困難なく過ごすことができた」と話すが、選抜甲子園を目指して戦った昨秋の北信越大会1回戦では自身の悪送球で失点。9回の満塁機でも凡退し敗退した。「甲子園に出るために懸けてきたのに申し訳ない気持ちになった」と自信を失いかけたが、「周りに支えられて乗り越えることができた」と感謝を忘れない。ようやくたどり着いた甲子園。「小さい頃から夢みていた舞台。大きく、自分らしくプレーしたい」とプレーでの恩返しを誓っている。


⑦渡邊櫂史(わたなべ・かいじ)・2年・左翼手
胎内市立乙中(新発田シニア)・178cm・75kg・右投げ左打ち

左打席からの強打が特長の五番打者。外野守備でも強肩が目を引く。1年生だった昨秋からレギュラーに抜てきされ、今春の県大会準決勝(関根学園戦)では3安打1打点と活躍し、勝負強さを印象付けた。胎内市の出身で「新潟県から甲子園に出たいと思い、中越を選んだ」と話す。厳しい練習で知られる中越だが、「練習も、寮生活も、楽しい」と笑顔をみせる。甲子園出場が決まり、「お世話になった地元の人たちや友達が喜んでくれるのがうれしい」と喜び、甲子園では「絶対に打てる。自分のできることをやって、打ってくる」と誓う。船をこぐ道具「櫂」と歴史の「史」を繋いだ名前には両親の思いが込められている。新潟県の歴史の海原をこぎ、新たな地平にたどり着くための櫂となる決意で挑む。


⑧平澤謙太(ひらさわ・けんた)・3年・中堅手
小千谷市立東小千谷中(長岡東シニア)・172cm・72kg・左投げ左打ち
外野手で副主将。新潟大会の決勝で優勝を手繰り寄せる勝ち越し本塁打を放った。高校で初めて打った本塁打が土壇場の場面で出た。「ずっと打てていなかったが、仲間から『ここぞでくるぞ』と言われていた。(石山)愛輝から『ありがとう』と言われて、その言葉が一番うれしかった」。ずっと野球をしてきた父親の影響で、物心ついたときにはバットを握っていた。中学時代は長岡東シニアに所属。チームメイトだった清水と「一緒に野球がしたかった」と中越に進学した。昨秋は高い打率を残したが、今春は左足首のケガで戦列を離れた。苦しい時期を乗り越えての甲子園出場に「やってきたことが結果に出てよかった」と話す。自信を取り戻して臨む甲子園。「初球から思い切り振って、怖がらずに楽しんでプレーしたい」と意気込む。


⑨山岸宏成(やまぎし・こうせい)・2年・右翼手
長岡市立東北中(長岡東シニア)・172cm・75kg・右投げ右打ち

強肩の外野手で、打席ではミート力が高く、広角に打てる打撃が特長。父親の利安さんが中越野球部OBで、子どもの頃からグレーのユニフォームにあこがれを抱いてきた。「甲子園に行って、勝って、地元を盛り上げたい」と入学。昨秋県大会では1年生ながら四番にも座った経験を持つ。今春の県大会でも打撃で結果を残したが、夏の新潟大会は「緊張感から思うような結果が出なかった。3年生に連れてきてもらった甲子園」と振り返る。その分、「3年生と一緒に長く野球をしたい」と活躍を期す。「新潟大会では消極的なプレーがあった」と反省点もあったが、「甲子園では自信を持って、思い切り楽しんで結果を出したい」と大観衆の前で大暴れを誓っている。

(取材・撮影・文/岡田浩人 撮影/武山智史、若月仁)