【高校野球】決勝は帝京長岡×日本文理 新潟大会準決勝

夏の甲子園出場を懸けた「第104回全国高校野球選手権・新潟大会」は26日、新潟市のハードオフ・エコスタジアムで準決勝2試合が行われ、帝京長岡と日本文理が決勝に駒を進めた。帝京長岡は1987年に創部して以来、夏は初めてとなる決勝進出。日本文理は2019年、21年(20年は中止・独自大会開催)に続いて3大会連続となる決勝進出を果たした。

決勝戦は28日(木)に同スタジアムで行われる。帝京長岡が勝てば初優勝で春夏通じて初の甲子園出場、日本文理が勝てば県内最多となる12回目の優勝となる。

準決勝①帝京長岡1-0中越
帝京長岡①茨木秀俊(3年) 延長12回を無失点で抑える力投を見せた


準決勝②日本文理11-6北越
5回表、日本文理は井口虎汰朗(3年)の中前適時打と相手失策で6-4と勝ち越し

◎26日の準決勝の試合結果◎
<ハードオフ>
①帝京長岡1-0中越(延長12回)
→帝京長岡が初の決勝進出

(バッテリー)
帝京:茨木秀俊-竹部新之介
中越:小幡拳志郎-増田恒輝
(二塁打)
中越:杉田海人(4回)、関照永(7回)

中越のエース①小幡拳志郎(3年) 1回に自己最速となる145㌔を計測


4回裏、中越は四番・杉田海人(3年)が左中間に二塁打を放つ


7回表、帝京長岡は一番の主将・水瀬匡亮(3年)の中前安打で1死1、2塁に


7回表、2死満塁のピンチを無失点で切り抜けた中越①小幡拳志郎(3年)


8回裏、中越は代打⑰松浦一翔(2年)の左前安打で1死満塁に


8回裏、1死満塁のピンチを抑えた帝京長岡①茨木秀俊(3年・中央)


延長10回裏、1死1塁から主将・吉井愛斗(3年)が犠打を決めて2塁に送る



延長12回表、帝京長岡は1死1、3塁から二盗を仕掛け、遊撃手による送球失策の間に3塁走者の幌村黛汰(3年)が生還し、1点を先制


勝利の瞬間、帝京長岡の茨木秀俊(3年)は飛び上がって喜びを爆発させた


1987年創部の帝京長岡は夏は初めてとなる決勝進出


一昨年は独自大会優勝も甲子園大会が中止に。昨夏はコロナ禍で出場辞退。今夏に懸けていた中越ナイン 4年ぶりの甲子園出場はならなかったが見事な戦いだった

◇帝京長岡・芝草宇宙監督の話◇
「きょうはバッテリーを含めて守ることができていた。今まで苦しい思いで練習をしてきて、守備の大切さ、1点の重みを感じてやろうとやってきたが成長できたと思う。(茨木投手の出来は)ここまで成長していたかとびっくりした。粘り強く、最後まで冷静に投げ、春の反省をいかせた内容だった。最高の投球。この展開で次の投手をつくるのを忘れるくらいの投手戦になり、この状況で次の投手を用意してもいいのかと迷ったが、きょうは最後まで任せる気持ちになった。(打線は)正直もう少し打てると思っていた。低めのスライダーの対策をして狙わせたが、それでもとらえきることができなかった。もう一度打撃を修正したい。小幡くんのスライダーが非常によかった。(決勝戦へ)ラスト1つを何とかもぎ取り甲子園に行きたい。次も選手を信じて戦いたい」

◇帝京長岡・茨木秀俊投手の話◇
「緊迫した場面が続いたのでほっとしている。無駄な四球が多かったが、要所を抑えられてよかった。(試合を終えた時は)長かったなというのと、ベスト4の壁を越えられてよかった。エースという立場で抑えなければ勝てないと思い、責任を持って投げた。(疲れは)あまり感じていなかった。春までは自分が打たれて失点する場面が多かったので、そこが春からの成長だと思う。練習試合から闘争心を持って投げていた。きょうはストレートが低めに決まっていた。(181球を投げたが)1週間に1000球を投げる練習をしてきた。監督の練習メニューを信じてやってきてよかった。 小幡投手がいい投球をしている以上、、自分も負けられないと気持ちで投げることができた。(決勝へ)チームとして初の甲子園を目指してやってきた。優勝を目指したい」

◇帝京長岡・幌村黛汰選手の話◇
「苦しい展開だったが自分たちの野球を最後まで貫くことができて勝ちに繋がった。(先制ホームを踏んだ時は)点数が入ってうれしかった。ほっとしたが、切り替えて次の守備のことを考えた。(決勝は)自分たちらしく粘り強く、甲子園で勝つためにチームを作ってきた」

◆中越・本田仁哉監督の話◆
「選手は本当によく頑張った。点を取らせてあげられず悔しい思いでいっぱい。(小幡投手は)こういう試合をああいうレベルの高いライバルを相手に投げて100点満点。走者を出してからの集中力は3年間で一番だった。危ないと思った場面はなかった。技術的には丁寧に直球と変化球、インコースとアウトコースに投げ分けられるようにできるようになった。そこに加えて人間的に別人のように成長した。野球のため、甲子園のため、チームのために必要なこと、プラスになることだけを、24時間生活からやり切ることができるようになった。その変化は最後の夏にこうやって踏ん張れたところに出た。これからも自信を持って頑張ってほしい。(攻撃は)茨木くんの様子を見て、あの手この手でいこうと思ったが点数を取ることができなかった。(3年生へは)吉井を筆頭にいいチームを作ってくれて、(コロナ禍で事態となった)昨年の3年生の思いを背負ってやってきた。この3年生の残したことは大きな財産」

◆中越・小幡拳志郎投手の話◆
「きょうは延長12回の中でも崩れず、自分の投球をできた。(最速145㌔が出たが)同じ長岡同士、負けられないと意識して、ピンチの場面でも冷静に投げることができた。(茨木投手が相手で)絶対に負けられないという気持ちがあった。(206球を投げ切って)疲れはあったが、何が何でも投げきってやるという思いでマウンドを降りる気持ちはなかった。(自分自身の成長は)去年の3年生が夏に辞退し、3年生に頼っていた部分があり、自分が背番号1を付けるからには自覚を持ってやっていこうと、この1年間は練習でも自分から前に出て引っ張っていった。(この先は)大学で野球をやりたい。高校3年間で一度も甲子園に行けなかったが、大学では神宮で日本一になって、プロ野球に挑戦したい」


②日本文理11-6北越
→日本文理は3大会連続で決勝進出

(バッテリー)
文理:田中晴也、村越仁士克-竹野聖智
北越:山倉大武、中里優暉、近晃成、山田直輝-宇野浩平
(二塁打)
文理: 玉木聖大(6回)、竹野聖智(6回)、高橋史佳(8回)、才須海心(8回)、田中晴也(9回)
北越:宇野浩平(4回)、西潟晴(7回)、長谷川泰暉(8回)
(三塁打)
文理:早川優成(2回)

北越の先発①山倉大武(3年)


2回表、日本文理は無死満塁から井口虎汰朗(3年)の中前適時打で2点を先制


日本文理の先発①田中晴也(3年)は2回裏に自己最速となる150㌔をマーク


北越は2回途中から⑱中里優暉(3年)が登板


4回裏、1点を返した北越は2死1、2塁から宇野浩平(3年)の左越え適時二塁打で3-4に


4回裏、北越は主将の丸山幹太(3年)の中前適時打で4-4の同点に


6回表、日本文理は2死3塁から主将・竹野聖智(3年)の右中間適時二塁打で7-4と突き放す


6回表、ピンチでマウンドに上がった近晃成(3年)は追加点を許さず


7回から登板した北越⑪山田直輝(2年)


8回表、日本文理は高橋史佳(2年)の左越え適時二塁打で8-5に


8回から登板した日本文理⑩村越仁士克(3年)は2回1失点で抑える


夏の選手権で3大会連続となる決勝進出を決めた日本文理


決勝進出はならなかったが、最後まで粘りを見せた北越ナイン

◇日本文理・鈴木崇監督の話◇
「(田中投手について)ピッチングに関して十二分に期待に応えてもらっている。(左投手対策は)打球方向や出塁の仕方は練習の甲斐があった。(遊撃の平田来は)去年秋のケガで棒に振った部分があるが、打開してもらいたい。あともう1つ、挑戦できる。練習試合も含めてたくさんミスしてきたが、最後は思い切って野球をやってもらいたい。3年生が最後に試合をできる2校として、帝京長岡さんといいゲームができれば。茨木投手と新潟県の歴史的な投げ合いになればと思う」

◇日本文理・田中晴也投手の話◇
「前半3回はいい内容だったが、甲子園に行くエースとしては物足りなく詰めが甘い部分があったので、もう一度しっかり反省して次の試合に繋げたい。直球に自信を持って投げていたが、どうしても(コースの)四隅の際を狙いすぎだったり、ファウルでカウントを取ることができなかったのが悔しい。(150㌔を計測したが)空振りを狙った球だったが、自分自身でもうまく体が連動したなという感覚があって、球速を見たら出ていて、感覚の部分でもやっぱり出たかと驚きはなかった。目標としていた数字ではあるが、それよりもゼロで抑える、最少失点で抑えるということにこだわってきたので、結果という部分で悔しさが残る投球だった。(疲れは)体力強化と走り込み、投げ込みをやってきたという自信があるので、まだいける。次の試合も投げ切ることができる。(決勝戦へは)勝つことが最大のテーマ。勝ちに繋がる投球をしたい。(茨木投手は)去年からずっと新潟県で勝つには140㌔を超える直球とスライダーを意識して打撃練習をしてきた」

◇4安打3打点の日本文理・井口虎汰朗選手の話◇
「今までの試合で一番打者としての役割ができずに終わっていたので、きょうは一番としてチームを盛り上げたいと思った。これまでは低めの球に手を出して打ち取られることが多かったが、本間忠コーチから上体を上げると球が見やすいとアドバイスを受けた。チームとして最初の目標にしているのは先制点。(2回は)自分が決めてやろうと思った。打ったのは真ん中高め。日本文理の一番打者は憧れで、先輩たちは一打席目にチームを勢いづける打撃をしていた。きょうはどんな形でも出塁してチームに勢いをつけたかった。あと1つで甲子園に行けるので一戦必勝で頑張りたい」

◆北越・小島清監督の話◆
「(4点差を追いついたが)よく食らいついていった。(田中投手対策は)球に力があるので低めを振らされたら勝負にならないのでストライクゾーンを上げるように言った。球の見極めはできていた。ずっとマシンで150㌔近い球を打つことや130㌔のスライダーを打ってきたのでスピードに驚くことはなかった。(継投は)ウチは弱者。なんとか一巡を抑えてくれればとやってきたので迷いはなかった。ストライクゾーンで逃げずに勝負するようになって皆成長してくれた。宇野は打撃で淡白なところがあったが、夏の大会で球際に強くなってくれた。丸山は捉える力はウチのチームで一番あり、田中くんの球をきちっと打ちにいってくれた。(日本文理打線は)粘り強かった。打てないと思って攻めた球も弾き返された。ナイスバッティングだった。(3年生へは)野球が大好きな選手たちなので上で続けてほしい」

◆北越・丸山幹太主将の話◆
「自分たちのできることは出し尽くしたので悔いはない。(4点を追いついて)4点差なら自分たちの打撃ならば追いつけると自信があったので焦りはなかった。田中投手は低めに球が集まっていたので、高めに浮いたスライダーを狙おうと話していた。(田中投手対策は)ギアを上げる時があるので、上げる前にと思っていた。自分たちの力負け。6失策あり、大舞台で飲まれている部分があったかもしれない。(3年生は)仲がよく、団結力があった。(後輩へ)いい選手が集まっているので、自分たちを越えてほしい」


◎28日(木)の決勝戦◎
<ハードオフ>

帝京長岡(10:00)日本文理

(取材・撮影・文/岡田浩人 取材・撮影/岡絃哉 取材/松井弘恵)