【高校野球】2年ぶりの新潟大会が開幕 小出と新潟東が初戦突破

夏の甲子園出場を懸けた「第103回全国高校野球選手権・新潟大会」が10日、開幕した。新潟市のハードオフ・エコスタジアムでは2年ぶりに開会式が行われ、6チームが入場行進した。選手を代表して正徳館栃尾の中村周生主将(正徳館3年)が「人々が自然に触れ合うことができない時でも、野球を通じて応援して下さる皆さんの思いに応えられるよう、一投一打仲間を信じ、最後まで諦めず全力でプレーすることを誓う」と宣誓した。

開会式の後には1回戦2試合が行われ、開幕試合では小出が正徳館栃尾にコールド勝ち。第2試合では新潟東が夏7年ぶりに勝利し、それぞれ2回戦へと駒を進めた。11日は4球場で1回戦8試合が行われる予定。大会は順調に日程が進めば決勝戦が27日に行われ、甲子園出場チームが決定する。

選手宣誓を行う正徳館栃尾の中村周生主将(正徳館3年)

◎中村周生主将の選手宣誓全文◎
「宣誓 世界中が感染症の猛威にさらされるなか、私たちはきょう、この日を迎えることができ、感謝の気持ちで胸がいっぱいです。昨年、甲子園という大きな夢に向かって、この新潟大会でプレーすることができなかった先輩方の思いは今、私たちの胸の中でつながっています。人々が自然に触れ合うことができない時であっても、野球を通じて私たちを応援してくださっている皆さんの思いに応えられるよう、一投一打仲間を信じ、最後の最後まで諦めずに、全力でプレーすることを誓います」

◎10日の1回戦の試合結果◎
<ハードオフ>
①小出10-1正徳館栃尾(7回コールド)
※正徳館栃尾は正徳館・栃尾の連合

(バッテリー)
正・栃:島田航汰、磯辺泰西、梅田将馬-鈴木琉生
小 出:大平琉稀、腰越一真-細矢健太郎

開幕戦となった小出と正徳館栃尾


小出の先発は主将①大平琉稀(3年)


正徳館栃尾の先発①島田航汰(栃尾2年)


1回裏、同点に追いついた小出は腰越一真(3年)の中犠飛で2-1と勝ち越し


3回裏、小出は佐藤宗汰(3年)の左前適時打で2点追加し5-1に


ピンチでマウンドに集まる正徳館栃尾の内野陣



7回表2死から正徳館栃尾の四番・中村周生(正徳館3年)が中前打で出塁。選手宣誓で約束した「最後まで諦めない」姿勢を示した

◇勝ち越し犠飛の小出・腰越一真選手の話◇
「(春の1号も打ったので)夏の1号も打ちたいと思い、力が入った。第1打席はそのフライが犠牲フライになってよかった。(チームの先発メンバーで唯一無安打だったが)そうなんですか(びっくりした様子)。次の新潟産大附戦で安打1本出せるよう、しっかりチームで攻撃を回すことを心掛けたい。いい投手が相手なので打ち崩せるよう、練習して対応したい」

◆正徳館栃尾・中村周生主将の話◆
「選手宣誓が決まった日はびっくりして寝られなかったが、先生に一緒に考えてもらった。昨年甲子園が中止になり、先輩たちの思いを込めた。(最終回の打席は)後輩たちが自分のためにつないでくれたおかげで最後の打席に立つことができ、諦めないという気持ちを忘れなかった。しっかり自分のスイングができた。3年生は自分しかいなくて、1人で練習していた時期もあった。3年間でくじけそうになったり辞めたくなったこともあったが、周りの人たちに支えてもらったからこそできた高校野球だった。(今後野球は)どこか入ることができる場所があったら続けたい」

②新潟東12-8豊栄農林
※豊栄農林は豊栄・加茂農林の連合

(バッテリー)
新潟東:三代川竜稀、高橋優輝-高橋優輝、谷本遼馬
豊・農:周佐優斗、五十嵐新-大野侑
(二塁打)
新潟東:池田倖太(7回)
豊・農:大野侑(4回)、金澤誓快(9回)
(三塁打)
新潟東: 池田倖太(6回)、細野業雅(7回)、伊豆野凛桜(9回)
豊・農:市野翔太(6回)、大野侑(6回)
(本塁打)
新潟東:谷本遼馬(9回・2ラン)

豊栄農林の先発①周佐優斗(加茂農林3年)


新潟東の先発①三代川竜稀(3年)


3回裏、豊栄農林が2死1、2塁から重盗と守備の乱れの間に2点を先制


6回表、新潟東は伊豆野凜桜(1年)の適時打で1-2と追い上げる



6回裏、豊栄農林は堂谷快雄(豊栄3年)の犠飛で三塁打の市野翔太(加茂農林3年)が生還。さらにこの回、もう1点を追加し、4-1と突き放す


7回表、新潟東は1点差に迫ると細野業雅(2年)の適時三塁打で4-4の同点に


8回裏、豊栄農林は主将・大野侑(加茂農林3年)がこの日3安打目となる安打を放って出塁するも、勝ち越しはならず


9回表、勝ち越した新潟東は四番・谷本遼馬(3年)が大会第一号となる右越え2ランを放ち、8-4に。9回に一挙8得点を挙げる


来春定年を迎える新潟東・新田聡監督(中央)は7年ぶりとなる夏の勝利を静かに噛み締めた

◇新潟東・新田聡監督の話◇
「(7年ぶりの夏勝利に)生徒たちが私に1勝をプレゼントしてくれた。それに尽きる。相手バッテリーがよかったが、5回を終わった時点で必ずチャンスが来るからと選手たちを信じていた。(谷本の2ランは)出来過ぎ。序盤の失点は(捕手の)谷本の失策。しょげていたので、失策もゲームの一部なんだと話していた。来春退職なので、選手に『いい場所でグッドゲームをしよう』と話し、エコスタの開幕日を引きたかったが、偶然引くことができた。(次戦は新潟明訓戦だが)当たって砕けろなので、思い切ってやるだけ」

◇大会第一号本塁打の新潟東・谷本遼馬選手の話◇
「チームワークがよく、なんとか夏の1勝を、と目指してやってきた。練習試合では負けてしまうことが多かったので、応援してくださる人たちのために勝ちたかった。自分の失策をみんながカバーしてくれた。(本塁打は)ストレート、真ん中高め。狙っていたが、練習試合で1本打ったことがあるだけだったので、行くとは思わなかった。勝利につながって良かった。3年生は勝ったことがなかったので、整列も戸惑ってしまった。(新田監督の最後の夏で)毎日打撃投手をしてもらったり、ノックなどで支えてくれて、なんとか恩返しをしたかった。勝利を届けることができてよかった」

◆3安打の豊栄農林・大野侑主将(加茂農林)の話◆
「周佐には勝たせてあげられずごめんと話した。3年間(捕手の)自分のリードについてきてくれて感謝している。(9回に2ランを打たれた場面は)きょうは直球がよかったので、内角の直球で詰まらせようと思ったが、少し高く芯でとらえられた。打った打者がうまかった。3年間ずっと弱いチームで、勝てないと思われていることが悔しくて、いつも居残り練習をしてきた。打って周佐を助けたかった。1年秋と2年秋は万代高校と連合チームを組ませてもらってきたが、捕手としてチームをまとめるという、なかなかできない経験をさせてもらったこと、豊栄高校のみんなとエコスタという舞台でいい試合ができたことは宝物。3年間やってきてよかった。野球はこれからも続けたい」


◎11日の1回戦予定◎
<鳥屋野>
①新潟工(9:00)新潟北
②新潟南(11:30)村上桜ヶ丘

<五十公野>
①新発田南(9:00)新潟第一
②新発田商(11:30)新潟青陵

<悠久山>
①長岡農(9:00)見附
②加分阿白吉(11:30)長岡大手
※加茂・分水・阿賀野・白根・吉田の連合

<佐藤池>
①長岡向陵(9:00)常総久
※柏崎常盤・柏崎総合・久比岐の連合
②糸魚川白嶺(11:30)長岡

(取材・撮影・文/岡田浩人)