【高校野球】春季県大会の中止を発表 夏は「感染リスク少なくなる準備をしていく」

新潟県高野連は4日、新潟市で記者会見を開き、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月26日に開幕予定だった「第142回北信越高校野球・新潟県大会(春季県大会)」を中止することを発表した。会見で富樫信浩会長は「感染リスクを払しょくできない」とした上で、長期にわたる練習自粛などの影響で「練習や実戦経験の不足から生徒のケガや事故の発生リスク、安全安心が確保できない」ことを中止を判断した理由に掲げた。また夏の大会については「日本高野連がどうのように考えるか」とした上で、「少しでも感染リスクが少なくなるような準備をしていく」と述べた。

1949年に第1回大会が行われて以来、秋を含めて県大会が中止となるのは初めて。6月に長野県で予定されている北信越大会への新潟県代表の出場はない。

記者会見で中止決定の経緯と理由を説明する新潟県高野連の富樫信浩会長

◎富樫会長の記者会見の内容◎
<中止を決定した理由>
①新型コロナウイルス感染症の拡大が収まっておらず、県教育委員会が示す「感染拡大防止対策についての内容が全て守れない場合は活動を見合わせること」とされている。大会開催における集団感染リスクを下げる条件を全て満たした状態での大会開催が保証できないと考えたため。

②競技自体は屋外ではあるが、バスでの移動や控え室、ダッグアウト等での密閉、もしくは密閉に近い空間に、多くの生徒が集まる機会を回避することが大変難しい。そういう中で集団感染リスクを払しょくできず、安全・安心な環境を提供できないと考えたため。

③施設の消毒等の環境衛生を保つことが、広い施設であるため困難である。またアルコール消毒液の確保等が難しい状況。各球場での設置の充実も困難な状況にあるため。

④県教育委員会が示す学校の教育活動の再開が4月6日以降とされている。県立高校を含めた多くの学校で部活動も同様の再開となるが、部活動の休止期間は学校の臨時休業が始まった3月2日以降ではなく、2月中旬の学年末考査前から活動を休止している学校が多い状況。つまり2か月近く部活動を行えていない状況であること、活動再開後も制限された環境下での活動となり、さらに練習試合の解禁も県内限定で4月13日以降であることから、練習や実戦経験の不足から生徒のケガや事故の発生リスクが高いことが予想され、生徒の安全安心が確保できないため。

<以下、主な一問一答>
Q中止決定はいつどのような会議で
富樫会長(以下富樫)「会議というより今は異動の時期で役員改選の時期でもある。理事に2日前に電話で連絡をし、それをもって決定をさせてもらった。理事会の決定をもって加盟校へ連絡をさせてもらった」

Q今夏からシード校を秋と春の成績のポイント制で決めることになっていたが
富樫「それについては方針決定していない。秋のポイントのみを優先させるか、フリー抽選とするかは理事会で決定したい」

Q夏へどのような影響があると考えるか
富樫「まず甲子園大会がどうなるのか。本県の場合は7月上旬から開幕だが、北海道や沖縄は6月中旬から開幕になる。日本高野連がどうのように考えるか。非公式だが5月末に一定の線を出すと漏れ伝わってきているが、ちょっと遅いと個人的には思っている」

Q春の大会を目指してきた選手へのメッセージは
富樫「選手目線で考えればギリギリまで引っ張ってやるなどの選択肢はあると思うが、私たちは今の状況をしっかり理解してください、そこをもって判断をしてもらいたいと思っている。夏の大会が少しでも感染リスクが少なくなるような準備をこれからして、夏の大会が開催できるように準備をしていくととらえてほしい」

Q今後の練習については
富樫「3月27日に県教育委員会から通知が出ている。それに従って30日付で新潟県高野連の方針は各校に流している。4月12日までは練習試合をしない、13日以降は練習試合をやっていいが県外との試合はしないという通知になっている。県教育委員会にならった形。高野連独自という話にはならない。高校野球は高校スポーツで教育の一環。そういう枠は堅持したい」

Q中止決定の4つの理由のうち①~③の3つの理由が、現状のように6~7月も続けば夏の開催も難しいのでは
富樫「今のところ難しいかもしれない。ただ我々4つのうちの一番の理由は④が一番。やはり生徒のケガや事故防止のリスクが高まっているのが(春の中止の)最大の理由だとご理解いただければ、(夏は判断の基準が違ってくる可能性は)ある」

Q北信越大会には代表を出さない
富樫「出せない。(北信越大会については)北信越の各県の理事長、専務理事が3月に集まっているが各県まちまちで、各県の県教育委員会の温度差がある。我々としてはやむを得ない事態だと昨日、北信越各県の連盟に連絡をさせていただいた。今後、一度は理事長、専務理事の会議があると思う」

Q決断に至った会長のお気持ちを
富樫「選手には大変申し訳なく思っているが、そうした判断をするのが我々の役目。毅然として判断させていただいた」

◎新潟県高野連・富樫信浩会長の会見動画◎

(取材・撮影・文/岡田浩人)