【高校野球】この春注目の新戦力(中)新潟明訓・高津大嗣 父超え目指し新潟で成長

夏の前哨戦となる「第132回北信越高校野球・新潟県大会」(春季県大会)が29日に開幕しました。そこでこの春初めてベンチ入りした1、2年生のうち注目の新戦力を(上)(中)(下)の3回にわたって紹介します。第2回は新潟明訓高校の2年生・高津大嗣(だいし)投手です。


何気ない仕草が日米でクローザーとして一時代を築いた父の姿を思い起こさせる。セットポジションからのサイドスロー・・・持ち球はスライダーのほかに「シンカー」と答え笑った。「近くにいいお手本がいましたから」。新潟明訓の2年生投手・高津大嗣はこの春、初めて背番号「17」を付けてベンチ入りする。父はヤクルト、メジャーリーグなどで活躍し、現在はヤクルトで投手コーチを務める高津臣吾氏。その長男が新潟でデビューする。 続きを読む


【高校野球】春季新潟県大会が開幕 1回戦13試合がおこなわれる

夏の選手権大会のシード校が決まる第132回北信越高校野球・新潟県大会(春季県大会)が29日に開幕し、6つの球場で1回戦13試合がおこなわれた。県大会には5校連合1チームを含む85チームが参加。上位2チームは6月6日から長野県でおこなわれる北信越大会に出場する。鳥屋野① 新潟商のエース・佐藤睦投手 低めを丁寧に突き15奪三振の好投

◎29日の試合結果◎(全て1回戦)
<鳥屋野>
①新潟商5-1阿賀黎明
黎明 000 000 001 =1
新商 000 002 30× =5
(バッテリー)
黎明:清田、土田-長谷川
新商:佐藤-落合

②新発田南14-3新潟江南(5回コールド)
新潟江南 001 20 =3
新発田南 900 5× =14
(バッテリー)
新潟江南:廣瀬、本田、平野-吉井
新発田南:神田、渡辺響

③村上7-1巻総合
巻総 000 010 000 =1
村上 110 032 00× =7
(バッテリー)
巻総:吉原、鏡-田原
村上:大島、小池、佐藤友

<五十公野>
①新潟第一13-3中条(6回コールド)
中条 001 020 =3
第一 300 055 =13
(バッテリー)
中条:鈴木和-鹿島
第一:宮島-渡辺
(本塁打)
第一:梅田(5回・2点R)、坂井(6回・3点)

②新発田7-6加茂農林
新発田 230 110 000 =7
加茂農 000 024 000 =6
(バッテリー)
新発田:新田、中村-坂井
加茂農:片岡、藤田-荒井
五十公野② 1点差を逃げ切り校歌を歌う新発田の選手たち

<五泉>
①新潟工11-6新津工
新津工 000 150 000 =6
新潟工 207 020 00× =11
(バッテリー)
新津工:土田、土佐林-中村
新潟工:横川、小山-江口
(本塁打)
新潟工:江口(3回・ソロ)

②新潟向陽10-7新潟北(延長11回)
向陽 200 030 001 04 =10
北高 100 011 030 01 =7
(バッテリー)
向陽:片桐-中林
北高:成田、光井-国原

<悠久山>
①小千谷西15-1見附(5回コールド)
谷西 725 01 =15
見附 010 00 =1
(バッテリー)
谷西:五十嵐、長原-岩本
見附:幡谷、小師、佐藤凌、幡谷-佐藤凌、佐藤旺、佐藤凌

②長岡大手5-4糸魚川白嶺(9回サヨナラ)
白嶺 000 102 001  =4
大手 100 100 111× =5
(バッテリー)
白嶺:穂苅-綱島
大手:番場、堀、南田-近藤

<佐藤池>
①新潟産大附9-5久比岐
産大附 200 042 100 =9
久比岐 111 020 000 =5
(バッテリー)
産大附:小宮、與口-北原
久比岐:笠鳥、細野、笠鳥、細野-佐藤

②十日町40-0松代(5回コールド)
十高 725 1016 =40
松代 000 00 =0
(バッテリー)
十高:渡辺、高橋克-中條
松代:武田、川田、飯田-川田、藤ノ木

<高田公園>
①高田北城7-2上越総合技術
北城 300 012 100 =7
上総 001 001 000 =2
(バッテリー)
北城:安田、市川雄-金井
上総:閏間、小嶋-坂口

②塩沢商工2-1高田商(延長10回サヨナラ)
高商 000 000 001 0  =1
塩沢 000 010 000 1× =2
(バッテリー)
高商:伊藤-高橋
塩沢:貝瀬太-山本悠

(取材・撮影・文/岡田浩人 撮影/坂井湧斗 情報協力/各地の皆様)


【高校野球】この春注目の新戦力(上)川村啓真 日本文理史上初の1年生四番打者誕生へ

夏の前哨戦となる「第132回北信越高校野球・新潟県大会」(春季県大会)が29日から開幕します。そこでこの春初めてベンチ入りした1、2年生のうち注目の新戦力を(上)(中)(下)の3回にわたって紹介します。第1回は日本文理高校の1年生キャッチャー・川村啓真選手です。


「ガツン」・・・高めの直球を思い切り振り抜いた。打球はセンター後方にあるネットを大きく越え、学校の玄関前まで転がっていった。逆転の2点本塁打。打ったのは今月入学したばかりの日本文理1年生・川村啓真だった。26日、新潟市西区の同校でおこなわれた早稲田実高との練習試合。ファーストを守る早実の1年生スター候補・清宮幸太郎が注目される中、その目の前を同じ1年生で日本文理の“新4番打者”川村が駆け抜けていった。

早稲田実との練習試合で本塁打を放った日本文理1年・川村啓真選手


話題の清宮幸太郎選手(左)を迎え投手をリードする川村選手(右から2人目)

富山県黒部市出身。黒部市立桜井中学校では強肩強打のキャッチャーとしてその名が全国に知られていた。去年8月、新潟市でおこなわれた北信越大会に富山県代表として出場。本格派右腕の稲垣豪人とともに全国制覇を目指す北信越期待のバッテリーとして注目を集めていた。しかし全国大会出場を目前にした準決勝の最終回、死球で出た走者を3塁に置いたピンチで痛恨のバッテリーエラー。無安打で1点を献上し、そのまま敗れた。ホームベースを前にうなだれる川村の姿がそこにはあった。

去年8月の北信越準決勝で根上中(石川)に決勝点を許した稲垣豪人投手(左から4人目)


バッテリーエラーで決勝点を許し、うなだれる川村啓真選手(去年8月・新潟市)

高校進学にあたっては富山県内をはじめとした各県の強豪校からの誘いがある中、「施設が整っていて、一番野球ができる環境が日本文理だった」とあえて県外へ出ることを決断。中学時代の苦い思い出の地でもある新潟へやって来た。日本文理の印象については「(09年の)準優勝や去年夏のベスト4の印象が強い。特に去年夏の甲子園での富山商との試合(3回戦)はサヨナラで勝つ(新井の逆転サヨナラ本塁打)という強さが印象的だった」と話し、バッテリーを組んだ稲垣とともに今春、日本文理へ入学した。

川村の打力は4月中旬におこなわれた練習試合で発揮された。今春のセンバツ出場校・松商学園(長野)戦で実戦デビューすると、いきなり本塁打を叩き込んだ。その後も右に左にヒットを量産。その活躍ぶりに大井道夫監督も「練習試合で(打率)7~8割くらい打っている。野球に対する考え方がしっかりしていて、物怖じしない。上級生のピッチャーに対しても自分からマウンドに行く。キャッチングも肩もいい。使わざるを得ないでしょ」と絶賛。春の県大会で正捕手の背番号2を与え、四番打者で起用する方針だ。日本文理で1年春での正捕手、そして四番打者起用は「初めて」(大井監督)という。

3年生・山口尚輝投手(左)とマウンドで話す川村選手(右)

1年春でのレギュラー入りに川村は「四番打者ということはあまり気にしない。背番号2の自覚を持ってプレーや態度で示したい。経験は少ないが監督が選んでくれたことに応えたい。まだ未熟だが3年生の投手のいいところを試合で出せる配球をしたい。チームが勝つためにどうするかを一番に考えて、まずは北信越大会に行きたい」と意気込んでいる。172センチ、76キロのがっしりとした体形がグラウンドでは一回り大きく見える。入学からわずか1か月で掴んだ“正捕手”と“四番打者”の肩書きを引っ提げて、川村が日本文理の中心選手としてデビューしようとしている。

(取材・撮影・文/岡田浩人)