【中学軟式】直江津中が延長サヨナラ勝ちで全中8強進出

徳島県でおこなわれている第36回全国中学校軟式野球大会は18日、2回戦がおこなわれ、北信越代表の直江津中(新潟)が中国代表の岡北中(岡山)を2-1の延長8回サヨナラ勝ちでベスト8進出を決めた。新潟県勢のベスト8進出は、ベスト4に進出した2006年の吉田中以来8年ぶり。

◎2回戦の結果◎
岡北中 000 100 00=1
直江津中000 001 01=2

直江津中は甲子園出場中の日本文理高校のバッテリー飯塚悟史投手と鎌倉航選手の母校。直江津中は19日午前9時から準々決勝で九州代表の八代第一中(熊本)と対戦する。

(文/岡田浩人)


【高校野球】日本文理が東邦に逆転勝ち ベスト16進出

第96回全国高校野球選手権大会に出場中の日本文理は18日、2回戦で愛知代表の東邦と対戦。3-2で逆転勝ちし、3回戦進出を決め、ベスト16入りを果たした。新潟県勢のベスト16入りは2012年夏の新潟明訓以来2年ぶり。新潟県勢の夏2勝は2010年に8強進出した新潟明訓以来4年ぶり。日本文理の夏2勝は準優勝した2009年以来5年ぶり。日本文理の3回戦の相手は富山商で、大会11日目(21日)の第1試合で対戦する。

◎2回戦の試合結果◎
日本文理3-2東邦

文理000 003 000 =3
東邦000 110 000 =2
→日本文理が16強進出。3回戦へ。愛知県勢に3度目の正直

(バッテリー)
文理:①飯塚-②鎌倉
東邦:⑩藤嶋、①大井-②峰

◎戦評◎
日本文理が6回に集中打で逆転。エース飯塚悟史が丁寧な投球で要所を締め、競り勝った。
2点を追う文理は6回、鎌倉航の二塁打、飯塚の安打で1、3塁とし、1番星兼太が左前適時打で1点差に。その後、1死満塁としたあと、4番池田貴将が左前に2点適時打を放ち逆転。
エース飯塚は2失点したが、1回戦で20安打11得点した東邦打線をわずか6安打に抑える投球で2試合連続完投。9回は三者連続三振で試合を締めた。

新潟県勢が甲子園で愛知県勢と対戦するのは5度目。過去4度はいずれも敗れていて今回が初勝利。日本文理は2009年夏決勝で中京大中京に9-10で惜敗し準優勝。今春選抜では豊川に3-4で延長サヨナラ負けしていて3度目の正直で勝利を挙げた。

◇日本文理・大井道夫監督の話◇
「よく選手たちがやってくれた。7回から勝負だとベンチで言っていた。そうしたら6回にチャンスが出てきた。よくつながった。(1年生の藤嶋投手は)直球中心から変化球中心に配球を変えたり、いろいろとやっていたけど、結局狙ったのは直球だった。(4、5回と先に点を与えたが)まずかった。守備のミスで点を取られた。ただ飯塚には1点取られた後にチャンスはあるから頑張って放ってくれと言った。(逆転後1点差で終盤だった)飯塚は9回が勝負だという練習はずっとやってきた。それを甲子園できちっと(9回を)3人で抑えてくれて嬉しい。制球が良かった。ムダな四球もなく、勝負どころで力入れた球を放っていた。飯塚はこれを自信にしてほしい。(次は富山商)春の北信越決勝で当たっている。いい投手だしそう簡単に打たせてもらえない。ベストを尽くした試合をやれれば」

◇日本文理・池田貴将主将の話◇
「嬉しい。(逆転打は)1、2打席とも見逃し三振で悔しい結果に終わって、1年生(投手)の気持ちに負けないよう試合に入ろうと言葉をかけていたのに、主将である自分がそういう結果で、何とか3打席目はしっかり打つという気持ちでバットを振り切った。2打席目の見逃し三振でインコースの直球に手が出なくて、3打席目はその球で入ると思い狙っていた。(藤嶋投手は)思った以上に球も伸びていい投手だった。(逆転後に)追加点が取れなかったが飯塚が最後をしっかり抑えてくれてよかった。(次戦は富山商だが)春の北信越大会の決勝戦でやっているが、向こうも甲子園に入る前に打倒文理と言っていたので、それに負けないくらい、その気持ちを跳ね返すくらい強気な気持ちで試合に臨みたい」

◇日本文理・飯塚悟史投手の話◇
「先制されても焦らずやることをやれた。(自分の投球では)インコースを突けて、変化球を低めに集めるこができてよかった。(最後の3三振は)意識しなかったが、腕を振って次の試合につながる投球ができた。初球の入りを意識して、どんどんストライクを取ることを意識した。(守備のミスは)しょうがないことなので気にせず切り替えようとみんなで言った。(ベスト16だが)これで満足せず一試合一試合しっかりと自分たちのやることをやりたい」

(取材・文/岡田浩人)


【高校野球】昨夏レギュラーも・・・「サポートに回る」と誓った渡辺龍平くん

練習場所に到着すると誰よりも早くグラウンドに出る。バットやボール、マシンといった道具を運ぶ。打撃練習では外野守備につきボールを追いかけ、守備練習ではダイヤモンド外でボールを回す。日本文理の3年生・渡辺龍平の役割はこの夏、大きく変わった。


ベンチ入りメンバーのサポート役に徹する渡辺龍平くん(中央)

1年前の夏の甲子園。大阪桐蔭を相手にした初戦で、俊足と巧打を買われた渡辺は2年生ながら2番レフトで先発出場を果たした。1回表、大阪桐蔭のエースから両チームで初ヒットとなる当たりをライト前に放った。2回裏には見たことがないスピードの打球がレフトを守る自分の目の前を通り過ぎて行った。森友哉(現・埼玉西武)のホームランだった。

「あの打球を見て、こういう選手、チームにならなきゃと思いました。スイングの速さ、打球のスピード・・・これ以上にならないと全国では勝てないんだと」

初めての甲子園で全国レベルを体感した。『全国制覇』というチームの目標に貢献するため、自主練習ではバットを振りまくった。去年秋の県大会準決勝ではチームの窮地を救うタイムリーヒットを放った。


去年9月、県大会準決勝でタイムリーヒットを放ちチームの窮地を救った

ただ、チーム内の競争は激しかった。下級生の台頭もあり、春の選抜大会ではベンチ入りはしたが試合に出ることはできなかった。今夏の新潟大会でも背番号17を付けたが出場機会はなかった。

そして甲子園出場を決めた翌々日、7月29日にベンチ入りメンバーが発表された。人数は新潟大会の20人から甲子園は18人と2人減る。そこで渡辺の名前は呼ばれなかった。去年夏の甲子園でベンチ入りしたメンバー9人のうち、渡辺だけがベンチを外れることになったのだ。

「県大会で試合の出場がなく覚悟はしていましたが、いざ発表となると悔しかったです。それから1日、2日くらいは気持ちがなかなか切り替えられませんでした。でもお世話になった人たちと話していく中で、自分が去年夏の甲子園や秋の神宮大会を経験させてもらって、3年生の中では今までベンチに入れなかった仲間もいるのに、自分がここで腐ったら申し訳ない、と思うようになりました。今までずっとメンバー外の仲間にサポートしてもらってきたので、今度は自分が仲間をサポートする側に回ろうと思いました」

4日に大阪入りしてからの練習では、道具運び、ボール拾い、グラウンド整備・・・ベンチ入りメンバーのサポートになるよう率先して汗をかいている。

「自分はこういう立場になってメンバーの気持ちもわかるし、メンバー外の気持ちもわかるようになった。新潟にはほかの3年生も残っているし、その分もサポート役に徹して、メンバーが少しでも練習をしやすい環境を作るようにと行動しています。(2年生の)星や山口といったメンバー入りした後輩には、甲子園ではどういうミスをしてはいけないのか、ベンチに入っていた時に感じた、やってはいけないミスを教えています。先輩が後輩のサポート役に回るというのは、強豪校では当たり前だと理解しています」


練習後、仲間とともにグラウンド整備をおこなう渡辺龍平くん

「龍平はずっとベンチ入りメンバーだったのに、すぐにサポート役に回ってくれた。ありがたいと思うし、この仲間のために1試合でも多く、1日でも長く甲子園で試合をしたいし、この仲間と過ごしたい」・・・主将の池田貴将は渡辺ら仲間たちの働きに感謝する。

渡辺は高校卒業後、長岡市内の企業に就職を希望している。そこで野球を続けるつもりだ。

「初戦はアルプス席で新井(充)の逆転ホームランを見ました。去年夏、森友哉選手に打たれたホームランと同じ場所にボールが入った。嬉しかったですね。まだまだ3年生の夏を続けたいので、メンバーには頑張ってもらいたい。僕もスタンドから声援を送ります」

(取材・撮影・文/岡田浩人 敬称略)


【高校野球】好調の2年生・山口尚輝選手「いつでも準備している」

日本文理のベンチ入りメンバーで外野手控えの山口尚輝(2年・背番号17)が、大阪入りしてから打撃の好調を維持している。171センチと小柄ながら、50メートル6秒3という俊足の持ち主。初戦の1回戦・大分戦では4回に代走出場し、積極的な走塁で大分のエース佐野皓大の注意をひきつけ、新井充の逆転本塁打を呼び込んだ。左打席から広角に打てるパンチ力もあり、「野球センスが抜群」と大井道夫監督も評価。山口自身も「代走でも、代打でも、守備からでもいつでも出られる準備をしている」と大暴れを誓っている。

「初戦の4回裏、一塁を駆け抜けた片岡さんのエルボーを取りに行ったら、ベンチから『山口!』と言われて、代走かな?と思いました。突然でしたが準備はしていました。相手の佐野投手はビデオで見て、セットポジションに入ってからの動作が速いと分析していました。ただ牽制動作は遅いと思っていた。リードが広めなのはいつも通りでした」

広いリードを取る山口を気にして、マウンドの佐野は再三牽制動作を取る。山口は一塁からプレッシャーをかけた。続く小林将也の当たりはサードゴロ。ただ投球と同時にスタートを切っていた山口は二塁へ到達していた。

「監督からエンドランのサインが出ていました。二塁ベースから見た甲子園の景色は気持ちよかったです。緊張はしませんでした。新井さんが打った時、ツーアウトだったのでスタートを切っていました。三塁を回ったところで大歓声が上がって・・・一瞬何が起きたのかわかりませんでした。ホームランだとわかって、逆転だ!と思いました。ホームベースを踏んだ時に気持ちよかった。甲子園に行きたいと日本文理に進学したので実際に憧れの場所でプレーできて嬉しかったです」

山口が注目されたのは3年前の秋。白根北中2年の時だった。県新人戦(オンヨネカップ)で優勝。エースの山口は左腕から130キロ台の快速球を投げ込み、『新潟県ナンバー1左腕』と関係者の話題になった。マウンド上から躍動感あふれるフォームで自信満々に投げ込む山口の姿は鮮烈だった。

「中学時代はたぶん天狗になっていました(笑)。でも日本文理に来て、上には上がいると思いました。特に同い年の星(兼太)は練習試合のデビュー戦でいきなり3打席連続本塁打を打ってびっくりしました。これは凄いところに入っちゃったなと思いました。ここで背番号をもらうのは大変だと。守備も先輩たちの動きのレベルが高くて・・・でもこのチームなら甲子園に行けると思いました」

最初は自宅からの通いだった山口だが、納得いくまで練習がしたいと学校脇の寮に住む。夜遅くまで打撃練習を重ね、俊足巧打が監督の目に留まる。去年秋の神宮大会決勝の大舞台で公式戦デビューを飾った。2安打2打点。ただ逆転負けにつながるミスもあった。

「神宮の決勝戦でデビューしましたが、守備と走塁でミスをしてしまった。もう2度とああいうミスがないようにと練習をしてきました。春に続いての甲子園ですが、今度こそ勝って全国制覇したい。いつでも試合に出る準備をしています」

2回戦を前にした17日の前日練習でも左打席から快音を響かせていた山口。その姿を見ていた大井監督がつぶやいた。「小さいからって油断すると外野の間を抜くよ」。東邦の投手陣は全員右投げ。山口の出番は早いかもしれない。

(取材・撮影・文/岡田浩人 敬称略)