【大学野球】新潟医療福祉大が初優勝 関甲新新人戦

大学野球の関甲新学生野球連盟の平成28年度新人戦の決勝戦が2日、群馬・上武大野球場でおこなわれ、新潟医療福祉大が2対1で平成国際大をくだし、初優勝を飾った。新潟医療福祉大は創部4年目で初タイトル。最高殊勲選手賞には決勝で被安打5、奪三振12、1失点で完投した漆原大晟投手(2年・新潟明訓)が、最優秀選手賞には9回に決勝本塁打を放った水石英佑選手(2年・小諸商)が選ばれた。

新人戦初優勝を決め喜ぶ新潟医療福祉大のナイン

◎2日の決勝戦の試合結果◎
新潟医療福祉大2-1平成国際大
新潟医福大 001 000 001 =2
平成国際大 000 001 000 =1
→新潟医療福祉大が初優勝
(バッテリー)
新潟医福大:漆原(新潟明訓)-斉藤(関根学園)
平成国際大:小田(横浜)-阿保(弘前工)
(本塁打)
新潟医福大:水石(9回・ソロ)

◎戦評◎
新潟医療福祉大が最終回に劇的な本塁打で勝ち越し、初優勝を飾った。
新潟医療福祉大は3回、2死1、2塁から小池那弥(2年・新潟明訓)の右前適時打で1点先制した。
先発投手の漆原大晟(2年・新潟明訓)は立ち上がりから直球が走り、この日は最速148キロをマーク。5回までは無安打投球を続けたが、6回2死から死球と二ゴロ内野安打、三盗で1、3塁のピンチを招くと、遊ゴロ内野安打で同点に追いつかれた。しかしその後のピンチは凌ぎ、相手に勝ち越し点を与えなかった。
新潟医療福祉大は9回、先頭の水石英佑(2年・小諸商)が初球を右越えソロ本塁打を放ち、貴重な1点を挙げ勝ち越し。漆原が9回裏を抑え、逃げ切った。

3回表、新潟医療福祉大が小池那弥選手(2年・新潟明訓)の右前適時打で先制


新潟医療福祉大の先発・漆原大晟投手(2年・新潟明訓) 中盤の粘投が勝利を呼んだ


9回表、水石英佑選手(2年・小諸商)が右越えの勝ち越しソロ本塁打を放つ


新人戦監督を務めた石田航監督(4年・高崎経済大附)の胴上げ

◇新潟医療福祉大・石田航監督の話◇
「(佐藤和也監督より先に胴上げとなり)最高の気分(笑)。これがウチの試合の展開。焦ることはなかった。漆原への信頼度が高かったので代える気持ちはなかった。漆原で負けたら仕方がないと思っていた。(新人戦監督として)3年目の采配でようやく優勝でき、ウイニングボールが欲しかった。去年の準優勝の悔しさを味わった選手が主力で、ずっとこの新人戦での優勝を目指してきて、その気持ちが最後に水石のバットに乗ったと思う。(秋のリーグ戦へ)これまでは下から行くだけだったが、この優勝で1、2年生が自信を持ってもらい、3、4年生は下(1、2年生)が来ているということの危機意識をもってもらい、いいバランスで秋のリーグ戦を迎えられたら」

◇最高殊勲選手賞の新潟医療福祉大・漆原大晟投手の話◇
「決勝の緊張感がある中で力んで四球もあったが、打たせて取る意識に変えた。(最速148キロだったが)暑く、体が重かったので、テンポ、球数を意識して投げた。三振が欲しい場面では狙ったので、その球速(148キロ)が出たと思う。新人戦のチームのテーマとして『みんなのために』ということがあったので、みんなのことを思いながら投げた。6回の1失点は自分の弱いところが出たが、最後に水石が打ってくれたので、9回裏は自分が締めなければという強い気持ちで臨んだ。(秋のリーグ戦へ)笠原(祥太郎・4年)さんに頼らないで、自分が2戦目の先発でも全部投げ切れるよう体力をつけて、もう1ランク上のステージに行けるよう気持ちを入れて練習に取り組みたい」

◇最優秀選手賞の新潟医療福祉大・水石英佑選手の話◇
「(打った球は)高めに抜けたフォーク。(初球だったが)まずはヒットでつなげたかった。感触は完ぺきだった。(今大会2本塁打で)うれしいが、これを機にリーグ戦でもしっかり打てるようにつなげていきたい。秋も1番を打って、しっかり流れが作れるようにしたい」


創部4年目で初のタイトルを獲得した新潟医療福祉大1、2年生のナイン


◎初優勝で“涙”の胴上げ 1、2年生キャプテン・斉藤航主将◎

初優勝の胴上げで1、2年生キャプテンを務めた斉藤航(2年・関根学園)は泣いていた。

背番号10を背負い、キャッチャーとしてマスクを被った。マウンドの漆原をリードした。2対1・・・1点差のリードで迎えた9回裏。マスク越しに、あるシーンがよみがえった。
「あの時と同じだ・・・」

初優勝を決め、胴上げされる斉藤航主将

斉藤の思った「あの時」とは・・・。

2年前の夏の高校野球・新潟大会の決勝。関根学園のキャッチャーだった斉藤は、連覇を目指す王者・日本文理と対戦した。
「2対1」と1点をリードして迎えた9回裏、1死1、2塁から三番打者の小太刀緒飛(おとわ)を迎えた。
「小太刀くんはアウトコースを流すのが上手い選手。インコースを突いて勝負」
2ボールから投手にインコースを要求した。

その次の瞬間、やや甘くシュート気味に入ったボールはライトスタンドへ消えた。
逆転サヨナラホームラン。
関根学園の甲子園初出場はあと一歩で潰えた。

2014年夏の新潟大会決勝
歓喜に沸く日本文理ナインと、敗れた関根学園の斉藤航選手(左から3人目)

サヨナラ本塁打の直後、斉藤はかすかに笑みを浮かべていた。
その理由を尋ねたことがある。

「やっぱりな・・・というか、さすがだな・・・という気持ちでした」
そしてこう続けた。
「あの試合で一球の怖さを知りました」

大学に進学した斉藤はあと一歩で優勝を逃した「あの一球」を追い求め、練習に取り組んだ。

新人戦の決勝戦。
1点リードの9回2死からヒットで走者を許した。
斉藤は冷静にマウンドの漆原のもとに向かうと一言声をかけた。

勝ちを見ないで1球1球投げて来い。全てを出して投げて来い

斉藤が構えたのはアウトコース。
2年前の、あの決勝から学んだ配球だった。
最後の打者を三振に切って取ると、マウンドに駆け寄り、顔をくしゃくしゃにして泣いた。
2年前の決勝では、決して見せなかった涙だった。

決勝戦の9回裏、2死から走者を許しマウンドの漆原投手に駆け寄る斉藤航主将(右)

「優勝が目標だったので全員で勝ち取ることができて、何より初タイトルを自分たちの代で決めることができたのがうれしい。秋のリーグ戦でもこの新人戦で学んだことをいかしたいです」

高校時代、あと一歩で甲子園を逃し、悔しさを味わった最終回。
野球の神様が用意したかのように、再び同じ場面を迎え、そして見事に成長した姿を見せた斉藤。
試合後、いつまでも大事そうに優勝カップを抱えていた。

優勝カップを胸に抱く斉藤航主将 大学で成長した姿を見せることができた

(取材・撮影・文/岡田浩人)


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